両親からのあいさつ

 はじめに、『なぎくんを救う会』を結成し私達の長男、梛(なぎ)を救うため立ち上がって下さったボランティアの方々へ心から感謝申し上げます。

 梛は、平成22年3月6日新潟県長岡市で誕生しました。出産直後、よく目が見えていないのに、取り上げてくれた先生の持っていたチューブを掴んで離さず、困らせていたことを覚えています。自然豊かな環境で生活していたため、文字通り野や山を駈けまわり、あまり風邪をひくこともなく、元気に成長していました。

 平成24年5月、『拘束型心筋症』の診断を受けました。「とーちゃん」「かぁーか(母)」と片言ですが少しずつ会話が出来るようになった頃でした。「現代の医学では病気の原因が分かっておらず、有効な治療法もありません。病気が進行した場合、救う手段は心臓移植しかありません」と先生から説明を受けたとき、初めて子どもの死というものを考えました。

 診断後は、心臓への負担を少しでも減らすため、対処療法として内服治療が開始されました。薬の中には、大人でも苦みを強く感じるものもあり、全身で拒否する事もありましたが、いつの頃からか、苦みに震えながらも自発的に飲めるようになっていました。また国内の移植登録に向け、カテーテル検査、心筋生検、ホルター心電図、MRIなど様々な検査を行った結果、国内移植の承認も得ることができました。しかし、平成24年10月末には、病状が悪化し意識消失を繰り返すようになり、精密検査のため大学病院に入院となりました。その二日目には、ついに意識が戻らなくなり、処置室に搬送される事態となりましたが、強心剤の点滴により何とか意識を回復するこができました。

 平成22年の7月に改正臓器移植法が施行されましたが、施行から現時点(平成24年12月現在)で6歳未満の方からの臓器提供は1例という現状です。国内での移植登録を進めてきましたが、突然死のリスク、そして心臓の状態が悪化すると肝臓や肺など他の臓器も損傷を受けます。損傷が進むと程度によっては移植資格すらなくなってしまいます。一刻も早い移植が必要な状態であり、息子には時間がありません。そのため海外移植を決意しました。

 多くの先生方のご尽力により、米国コロンビア大学病院が受け入れを受諾してくれました。

 これまで、移植について家族内でも意見が割れたこともありました。一生飲み続ける免疫抑制剤による生活制限、そして副作用。また自分で判断できない子に、移植を判断することは、親のエゴではないか。移植後の生活は苦しくはないのか。様々な葛藤がありました。些細なことで喧嘩し家族の気持ちはバラバラになっていました。そんな中、移植を受けた子供達とそのご両親に会える機会がありました。そこでは生活の中で制限こそありますが、子供達は元気に生活しており、中にはスイミングスクールに通う子もいました。自分達の無知さを知りました。そして、それと同時に移植への決意が固まりました。

家族は命を救いたいという目標により、今まで以上に絆が強固なものとなりました。

 海外移植には莫大な金額が必要であり、とても私ども一個人では賄うことのできないものです。自分勝手なお願いということは存じております。

なぎの命を繋ぐためどうか皆さまの温かいご支援とご協力を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。 

 神保 匡 晴美